NGS-80周年

pccgarden2007-07-27


王立園芸協会の機関誌The Gardennの6月号に、NGS(ナショナル・ガーデン・スキーム−英国のオープンガーデン組織)のゴールドスミス会長のメッセージが載っていた。
NGSは今年で80周年だそうである。
わがIGCは来年10周年である。違うといえば違うし、なんだ大して違わないといえば違わない。

ただ、我々IGCの抱える最大の問題が老齢化なのに、NGSがそれを言っていないのは口惜しい。

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The Yellow Book stays burning bright
イエローブックは輝き続ける

NGSはイングランドウェールズで個人の庭に訪問者を招き入れ始めて、今月で80年になるのを祝う。
80周年はNGSが直面した難題や取り組むべき問題を考える好機である。

1927年にNGSに参加する庭が初めて公開されたとき、これらの庭は日曜日の午後に出かけられる数多くの場所を提供して、庭園訪問という概念を初めて大衆化させた。
初期は、今より大きく整形性の強い庭、すなわち当時の典型的な庭が多かった。けれど様式や好み、庭の広さが変化するにしたがい、NGSも変わってきた。 NGSはこの国の庭への関心を鏡のように映し出しているのだ。

80年前に比べると、今日では多くの庭が前より自然に重点を置いており、がっては雑草として抜かれていたかもしれない野草を使っている。堆肥づくりやリサイクルの計画を組み込む庭もあるし、いっそう多くの庭がより高度な生物多様性を擁するように設計されている。その結果、庭とは何かについての私たちの意識はかなり変わってきている。

地域社会を変える
NGSのもっとも魅力的な面のひとつは「庭には終わりがない」ということだ。庭は絶え回ない実験の過程の一部なのだ。例えば、ウェスト・サセックスのチッドミア・ガーデンズのデイビッドとジャッキー・ラッセルは歴史的かつ持続可能な園芸を利用して地域経済を支えている。 2002年に引っ越してきて、2入は再造園しただけでなく、果樹園をよみがえらせ、希少な地元の栽培品種を含めた2、000本以上の新しい木を植えた。NGS の下で庭を公開する日にはリンゴの圧搾を実演する。しぼったジュースは地元の農場の売店や農民市場で売る。チッドミアの庭と果樹園は、地域経済への支援と自然及び地域社会への支援を結びつけることの重要性をうまく示している。

地域社会の支援はNGSの核心である。私たちの主たる目的は慈善のための資金集めである〔昨年は£175万(約4億3、050万円)を集め、今年は£250万(約6億1、500万円)を期待している〕。けれどNGSはそれ以上のことをおこなっている。大勢のボランテイアや庭の持ち主を引き入れ、また頼りにすることでNGSは地域社会を積極的に結束させ、人々の生活に素晴らしいものをもたらしている。

ガーデニング自体と同様に、資金を集める過程は少なくとも資金自体と同じくらい価値あることとなった。これが慈善事業がどう機能すべきかという姿である。

柔軟な取り組み
今年はかつてなく広範囲で最大数の庭(3、500)を公開するが、それでもNGSは現代生活からのしわよせを免れるものではない。
ボランティアの中には競合する娯楽を気にする人もいる。日曜日の買い物やレジャー市場の拡大、DIYへの国民的関心、それに他の小規模な庭公開の組織などだ。けれど今のところ、私たちはゆるぎない。

NGSは今では夕方に公開する庭や予約訪問できる庭を増やしている。それでも日曜午後の自家製のお茶とお菓子は、今でも変わらずNGSの要である。
また、増加する家族連れの訪問者を歓迎しており、庭やがーデニングヘの愛着が世代間で確実に受け継がれていくようにしている。

初めからNGSは単純な考えを堅持してきた。それは良質で個性があり興味深い庭を公開して、慈善のための資金を集めるという考えである。確かに時代が変わるにつれて、難問が立ちはだかる。例えば、50年、100年後の庭園訪問がどのようなものとなっているかみきわめることなどだ。けれど私たちのやり方は機能すると確信している。
変化し、新しい考えを受け入れ、ガーデニングの持続可能な取り組みには必ずしも労力と費用がかかるとは限らないことを人々が理解する助けになる。私たちはそれができるだけの順応性を備えている。

私たちがこの流れにそって進み続ければ、NGSは来るべき80年も来訪者の関心を引き、ひらめきと刺激を与え続けるだろうと期待している。

Zac Goldsmith NGS会長
(訳者:柏木晶子 RHSJ)
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